昭和47年 2月定例会 本会議昭和47年3月2日(木曜日) 議事日程 第2号 午後1時 開議第1 県政に対する一般質問 ――
―――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 県政に対する一般質問(戸田文司君、志苫裕君、林弘二君) ――
――――――☆――――――――出席議員(63名)
曽我四郎次 君 大平 武 君 今井 敬弥 君 田辺 栄作 君 江口 秋治 君 石塚 光雄 君
伊豆野壹郎 君
長谷川豊恵 君 勝又 一郎 君
田原幸次郎 君
竹内十次郎 君 中川 三七 君 権平 正雄 君
目黒吉之助 君 志苫 裕 君
鈴木吉治郎 君 島田 直治 君 小柳 新一 君 小林 脩 君 布施 康正 君 目黒 武尚 君 熊倉 勘一 君 桜井 新 君 嵐 嘉明 君 中川 秀平 君 長浜 泰雄 君 小林 一夫 君 白井又三郎 君 林 十一郎 君 木村 博保 君 西川 亀三 君
岩村卯一郎 君 近藤 元次 君 山岸 敏夫 君 田井 安平 君 高橋 十一 君 稻家 重雄 君 鈴木 源次 君 吉川 芳男 君 長谷川 信 君 小林 静夫 君 祢津 文雄 君 高橋半左エ門君 加賀田二四夫君 石本十九一 君 遠山 作助 君
長谷川多喜男君
長谷川吉雄 君
佐藤熊太郎 君 川室 道隆 君 角屋 久次 君
外山勘兵衛 君 相場 一清 君 鈴木 太吉 君 小野 清一 君 戸田 文司 君 古川 渉 君 渡辺 善作 君 林 弘二 君 吉田 吉平 君 高橋 虎夫 君 江口 金吾 君 内山 福雄 君 ――
―――――――――――――――議員以外の出席者 知事 亘 四郎 君 副知事 君 健男 君 出納長 佐藤 貞三 君 総務部長 柳沢 長治 君
企画開発部長 大倉 博介 君 民生部長 矢野 達夫 君 衛生部長 菊地 浩 君
商工労働部長 松丸 清 君 農林部長 川田 稔 君 農地部長 竹内 昭八 君 土木部長 吉海 正 君
新潟東港開発局長 市原 哲三 君 病院局長 井村 繁樹 君 企業局長 坂本 義勝 君 教育長 白井 哲夫 君
警察本部長 田村 宣明 君
人事委員会事務局長 今井 俊雄 君
地方労働委員会事務局長 山根 俊英 君 監査委員 石沢 庄市 君 ――
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△午後1時3分開議
○議長(鈴木太吉君) これより本日の会議を開きます。 ――
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△日程第1 県政に対する一般質問
○議長(鈴木太吉君) 日程第1、県政に対する一般質問を行ないます。通告順により発言を許します。 まず、戸田文司君の発言を許します。 〔戸田文司君登壇〕(拍手)
◆戸田文司君 2月県議会にあたりまして、私は自由民主党を代表して、47年度の当初予算その他当面する県政の重要案件につきまして質問をいたします。 最初に、今回提案されました当初予算及び今後の県財政の見通し等につき知事の御所見並びに覚悟を伺いたいのでございます。 第1点は、予算編成に対する姿勢の問題、すなわち緊縮財政か積極財政かということでございます。 現在、わが国経済の低迷による税収等の伸び悩みから、地方財政が深刻な財源難に直面していることは否定できません。 思うに、県勢の伸展と県民福祉の増進のための施策は、一日も停滞を許されません。 新
年度予算編成の過程において、わが党は知事に対し、いたずらに健全財政の方針にとらわれることなく、県民が納得してくれる仕事の上の赤字はやむなしとの気概をもって対処すべきことをたびたび要望いたしてまいりました。 新年度当初
一般会計総額の1,817億7,000万円は、今年度当初に比べて13.6%の伸びであり、前年度比12.3%を上回る予算規模であります。 窮迫した財政環境にもかかわらず、このような超大型予算をあえて組まれ、また
市町村道路貸付金制度の拡大存続をはじめ
道路関係予算の大幅計上、
普通河川整備貸付金制度、林業公社の創設、
公害研究所の独立など、党の要望した重点施策も実施されている
積極的姿勢と努力を多とするものであります。 しかし予算内容を見るとき、今年度当初予算に比例して218億円増といっても、人件費、義務的経費、物件費の自然増を差し引けば、純粋な事業費は、わずかにすぎず、知事の今後の方針をお尋ねしたいのであります。 第2点は、47年度予算の最終規模の問題であります。 知事は、大体2,100億円ないし2,150億円くらいと見込んでおるようでありますが、今後の県単事業その他の財政需要を考え、はたしてこの程度におさまるかどうかを承りたいのでございます。 第3点は、公共事業の完全消化の問題であります。
一般公共事業の国の予算配分の決定を待って、6月補正に追加される
公共事業予算の見込みであります。また財政の逼迫に伴い、公共事業の
選択投資論も出ていますが、わが党としては、後進県脱却のためにも、さらには国とともに景気回復の役割りを果たすためにも、公共事業の完全消化、早期発注を主張してまいりましたが、これに対する知事のお考えを伺いたいのでございます。 第4点は、県債償還の問題であります。 当初ですでに110億円の県債は、47年度末で200億円に達すると思われ、これまでの累積と合わせ、今後の
県財政硬直化の原因となるおそれがあります。 この危機を打開するためには、40、41年の不況時における41年度の
特別事業債の例のごとく、何らかの国の援助を期待せざるを得ないのであるが、知事の見通しと覚悟をお聞きしたいのでございます。 次に、公害対策と関連して機構改革の問題について質問をいたします。 予算の効率的運用は、機構と職員の整備充実にかかっております。 機構改革については、衛生部の環境局、土木部の
企画検査室、
教育委員会の
文化行政課が4月から発足することになりました。これらは、いずれもわが党がかねて主張をしていたことであり、複雑多様化する県行政の推進に対応するものとして賛成するものであるが、その運営にあたっては、県民福祉の向上に直接反映するよう努力されたいのであります。 特に公害対策については、知事は、
生活関連社会資本の整備、社会福祉の充実と並んで新年度県政の3本の柱として立てられておるのでありますが、予算内容において実質的に裏づけがなされているかどうかについて、若干の危惧を持つものであります。 予算編成時における各部の
公害対策関係総要望額74億円が、査定で約55億円に減ったということをもって、必ずしも熱意がないというのではなくて、問題は内容であります。 たとえば、環境局を衛生部に設置した最大の理由は、公害行政の第一線の足となるべき保健所などの活用にあったはずでありまして、その点、保健所や
自然保護監視機関の整備充実は、十分とは考えられないのであります。 2月1日に行管庁が、20都道府県の
公害防止対策事業の整備状況の監察結果に基づいて勧告を出していますが、本県に関しては、公害対策に従事する技術職員の実務経験の不足による技術審査の不徹底、
測定機器不備による緊急時の措置の不能等の指摘を受けているのであります。 県は、これらの点に留意して十分な配慮をするとともに、特に全国的に都道府県と市町村との連携体制の不足が目立つようでありますので、市町村における公害対策の指針等の策定に関する県の
積極的指導をさらに検討してほしいのであります。 さらに、わが党は、かねて土木部、農地部の用地職員及び技術職員の量的、質的充実を強く要望してまいった次第でありますが、これについて知事の所見を承りたいと思うのでございます。 次に、
社会福祉対策についてお尋ねいたします。
老人医療費の負担及び助成については、国では明年1月1日から70歳以上の老人に対する医療費の無料化を行なうことになっておりますが、知事は、本年当初予算年度から12月末までの9カ月間、県費で
つなぎ負担として支出すべきであると考えますので、知事の所見を承りたいのでございます。 また、すでに県費で実施している65歳以上の
寝たきり老人に対する
医療費助成を、新年度においても継続実施し、当初予算案には、新しく70歳以上の
一人暮らし老人に対して、県費をもって医療費を助成するよう提案されているが、65歳以上の
寝たきり老人同様に、
一人暮らし老人も65歳に引き下げ、同じ年齢基準にすることが、
老人福祉対策としての好ましい姿ではなかろうかと考えるのであります。 寝たきりは65歳以上、
一人暮らしは70歳以上と年齢制限を差別することは、あまりにもお役所仕事であり、福祉対策としてはよろしくないと思うのでございます。 医療費の
助成対象者は、いずれも
所得税非課税以下という所得制限がありますので、両者平等に65歳以上とするように知事からぜひ御再考を願いたいのでございますが、お考えを承りたいのでございます。 第2点として、難病対策については、当初予算案において、新規難病をきめこまかく取り上げ、特に
心臓薬コラルジルなどで肝臓障害を起こし、薬の公害訴訟にまでなっている
DH剤中毒症を、県が中心となり、
県DH剤中毒症対策協議会を設置して、実態の究明と治療方法の研究に乗り出したことは、亘知事の英断による、全国でも初めてのケースであり、高く評価するものであります。 今後、大衆薬による中毒症状を起こす事例がますます増大するのではないかと憂慮いたしておりますが、DH剤を投与された数も、昨年末は1,000名くらいでしたが、最近の調査結果によると、県下の病院、診療所でDH剤の投与を受けた患者は、2,000名を突破していると発表されております。 病気をなおしたい一心で医師から投与された薬を忠実に服用してきた数多くの人々が、中毒症状となって、社会に復帰する望みも失い、長い闘病生活のため、私生活と健康をともに破壊された方々には、ほんとうにお気の毒であり、深く御同情申し上げます。 わが党は、この問題のように、いままで医学上においても、十分に解明されておらず、また一般にもよく理解されておらない新しい型の難病対策については、県の財政の許す範囲で、超党派的に取り組む決意であります。 そこで、知事は、当初予算において、スモン、
ベーチェット病、
DH剤中毒症、農薬中毒による身体疾患、膠原病、
重症筋無力症等に取り組むため、475万3,000円を計上しておりますが、これを6つの病名ごとに細分すれば、予算額はきわめて僅少であり、いやしくも近代医学上未開の分野に挑戦し、発掘し、原因を究明して治療方法を研究する予算である以上、それにふさわしい経費を計上して、県民の健康を守っていただきたいと思うものでありますが、この予算増額について知事の御決意を伺いたいのでございます。 また、難病に対する認定患者についての治療費の自己負担の軽減をはかるべきであると考えますが、あわせて知事の御方針を承りたいのでございます。 次に、米の生産調整と米価問題についてお聞きいたします。 47年度
米全国生産調整数量は215万トン、
本県割り当て数量は12万900トンであります。これに対して、全国及び本県の農協中央会では、
食管制度堅持の立場から、米の単
年度需給均衡が必要であるとの認識に立ちまして、政府がさらに
生産調整協力の報償措置などの拡大をはかり、行政の責任において生産調整を進めるならば、できる限り協力すると昨年までと異なる態度を打ち出しております。 知事もまた、かねてより米生産県としての
地域分担制がさらに取り入れられ、正直者がばかを見ない施策が行なわれるならば協力すると言っているのであるが、
生産調整数量も決定し、さらに報償金も昨年倍額の見通しが立った現在、知事は本県の生産調整に対し、どのような態度で臨むのか、まずお聞きします。 また、
市町村配分について、県は2月25日に開かれた
農業生産対策協議会と
市町村長会議において、一部手直しは別として、配分方法は昨年の基準によると発表しているのであります。 この点、知事が提案説明において「昨年12月に策定した「
地域別農業生産の
長期見通し」の方向に即して、かつ、県内各地域の特性に十分配慮しながら、各般の施策を計画的に展開し、」と述べていることと食い違いがあり、また国の配分基準、地域分担50%とも逆行しているように感ずるのでございます。 本県は、地域にかかわらず、米作が農産物の主軸であることにかんがみ、公平に配分し、さらに協力者にばかを見させない施策を十分行なうべきであると思うのであるが、知事の所見をお尋ねします。 これと関連して、米の
物統令適用廃止に伴うメリットは何か、私どもは、生産者、
消費者ともに喜ぶべき形で、たとえば流通機構の整備、生産地と消費地を直結させ、
消費者米価の安定はもちろん、本県産米が有利に販売されるような方向で実施されなければならないと思うのでありますが、お考えはいかがでございますか。
生産者米価につきましては、44年度は2万640円、45年度は2万681円、46年度は2万1,305円と過去3カ年継続して実質的に据え置かれており、昨年度において
良質米奨励金の名のもとに239円のいわゆる
政治加算金がつけられたにすぎません。本年の
生産者米価をめぐる客観的諸情勢は、本年もさらに据え置きという、ほんとうに情けない措置は許されない状況にあると思うのでございます。 この際、知事は、47年度
生産者米価値上げについて、先頭に立って運動する考えがあるのかどうかを承りたいのでございます。 次に、林業の諸施策についてお尋ねいたします。 本県の森林面積は、県土の67%を占め、およそ84万ヘクタールで、全国第7位であります。 しかしながら、林地利用の面では、著しく立ちおくれており、民有林の
人工林比率は、全国平均40%に対し、本県は22.4%ときわめて低いのであります。 この原因は、気象、地形、地質等の立地条件の不備、さらに山林地域の道路網の未整備によるものであると言えましょう。 県土の保全、水資源の確保、生活環境の保全に森林の果たす役割りは、きわめて大きいのであります。 産業としての林業の振興はもちろんのこと、最近における森林に対する県民の要請は、日増しに強くなってまいっております。 したがって、これらの要請に対応した森林の維持造成をはかり、緑豊かな環境を整える必要があります。 幸い、来たる5月、本県で両陛下をお迎えして
全国植樹祭が開催されます。知事は、1日だけの植樹祭で終わることなく、これを契機に、全県的に
緑化推進運動を広げていく方針を明らかにしておりますが、まことに時宜を得たもので、絶大なる賛意を表するとともに、その具体策に大きな期待をしているものであります。 これには造林の推進、治山事業の
計画的拡大実施、林業の生産基盤の整備、なかんずく林道網の整備が肝要であると考えます。 林道は、造林、管理、
素材生産等、林業の全生産過程を通じて不可欠のものであり、また山村開発、過疎対策としてきわめて重要な役割りを果たしており、ますます公共性が強くなりつつあることは、御承知のとおりであります。 そこで、これらに対処する県の具体策についてお伺いいたします。 第1点は、わが党が昭和47年度の重点施策として強力に要請した林業公社の設置につき、その発足を見たことは、まことに同慶にたえませんが、その具体的な計画、実行の時期について承りたいのであります。 第2点は、
林業生産基盤整備の根幹である林業事業についてお伺いいたします。 まず、林道の用地、立木補償の問題であります。 前に述べましたように、林道は、山村開発、過疎対策に重要であると同時に、一般道路――公道の性格を帯びており、ただ単に
林道関係受益者のみの利用に供する域を脱却して、地域の重要な生活道路でもあり、また
レクリエーション等、国民全体の需要に供しているのが実態であります。 しかるに、林道の開設にあたって、用地、立木補償が制度化されないために、受益者なり市町村が全額負担しているのが実情であり、このことが
林道開設促進の隘路ともなっております。 現時点において、公共事業で用地補償のない事業は、時代にそぐわないと考えますし、農道に用地補償があって、林道にそれがないのは納得できないところであり、林道の用地補償の
補助制度化を、少なくとも宅地、田畑のつぶれ地についてだけでも実施すべきであると考えます。あるいは国に先立って、県単林道だけでもぜひ実施すべきであると考えます。これについて知事の所見を承りたいのであります。 次に、これに関連して林道舗装の
補助率アップの問題についてお伺いいたします。 このことは、用地補償とあわせてわが党の重点施策として林道舗装に対する
補助制度新設以来、
県費補助率3分の1を要請してきたところであります。今回、ようやく10分の1を6分の1県費負担ときめたが、これは国同様3分の1負担とできないものか、知事のお考えを伺いたいのでございます。 第3点として、森林組合の育成対策について質問いたします。 林業の根幹は、造林であることは言うまでもないところでありますが、この造林推進が思うにまかせない要因として、森林組合の弱体を指摘できるのであります。 造林の不振は、林業の生産性、採算の問題もありますが、造林する人がいない、すなわち労働力不足が最大の原因であります。 今後の造林は、県をはじめとする市町村、公団等の公的機関による積極的な造林の推進とあわせて、森林組合の委託造林以外にないと言っても、過言でないと思います。 しかるに、森林組合の実態は、経営規模が小さく、不振をきわめており、その役割りを果たせるところは、きわめて少数なのであります。 この森林組合の育成強化は、すなわち林業の振興につながる重要な問題であります。現在、県下88の
単位森林組合の現状は、県の
財政的援助なしには、本来の役割りを果たすことができないと考えますが、県の
具体的育成策をお伺いいたします。 次に、県立高校の授業料の改定について質問いたします。 わが党は、これまで終始一貫して人間形成の場である
高等学校教育を最も重視して、教育諸条件の充実強化に努力してまいったのでありまして、今後もこの方針は変わりません。 県立高校の運営費が授業料に依存する比率は、戦前は50%、昭和38年度は14%、46年度においては5.8%と急速度に低下しており、また現行の月額800円に改定された38年から以来8年の間に、
高校関係費は3倍に増大し、また生徒1人当たり額は、38年度には6万8,388円が、46年度は16万4,091円と2.4倍に増大しております。 高校教育に対する地域住民の要求は、依然として強く、今後さらに大幅な
教育予算増額をはからねばならないとき、1年生だけの
授業料改定はやむを得ないとしても、少なくとも、その
授業料値上げによる1億2,600万円の県収は、特定財源として教育費に還元して、教育の充実と施設の整備及び父兄負担の軽減に資すべきであると思いますが、知事の明確なるお考えをお聞きしたいのであります。 以上をもちまして、私の代表質問を終わりますが、簡単にして、明確なる御答弁をお願いいたします。(拍手) 〔
知事亘四郎君登壇〕
◎知事(亘四郎君) 戸田さんのお尋ねについて、私の見解を申し述べたいと思います。 まず、第1点は、県の財政の見通し、こういう点についてのお尋ねでございますが、今年度47年度の予算編成は、財政の上から非常にきびしい現状で解釈しなければならないという立場にあったことは、御案内のとおりでございまして、一言で申しますと、県にプラスになる財源関係は非常に悪化した、そうしておって、必要な経費がたくさん要るような実情にあった、この2つのものが予算編成を非常に困難にしたわけでございます。 と申しますることは、まず来年度予算において政府の減税措置、それから景気浮揚のための
公共事業費の増額、こういうことで減税も、
公共事業費の増額も、ともに県の立場からすれば、マイナスの要素となってくるわけでございます。 そうしておって、反面、今度は県の税収というものが非常に減収になった、そうしてまた、この傾向がさらに続くであろう、こういうように考えますと、予算編成が非常に困難にならざるを得なかったわけであります。 反面、今度は、一方において、いわゆる社会資本の充実を、公共事業と関連させてこれを進めていかなければならぬ。また、いろいろ県民各方面からの財政需要というものが、ますます多くなってきている。これらをどの程度県の財政の上からいってまかない入れるか、こういうようなことを考えまして、積極的にというお話もございましたので、したがって私どもも、その意を体して積極性を失わないように、さりとて将来を考えたときに、そのために、また県の財政の硬直化を来たして、今後の長い間続く県財政というものについて、その基礎を危うくしておいてはならぬ、こういうような配慮を、いろいろな面を加えて予算を編成していかなければならなかったわけであります。 そんなことで、一応1,817億円という当初予算でございましたが、その最終的な見通しとなりますれば、一応私、前から申しておりましたように、大体300億から400億の補正が必要となろう、
公共事業等にいたしましても、当初予算は、いつものように、まだ国の予算がきまっておらない段階でございますので、その点を勘案いたしまして、一応予定しているものの8割とか何とかいうような程度で組んでいるわけでございます。 したがって、国の予算編成後補正されてまいりますが、そうしたことを考えますと、大体補正されるものが300億から400億程度、そういたしますと、給与の改定、そういうようないろいろなものを考えあわせてみますと、最終的には2,200億程度に落ちつくのではなかろうか、かように考えているような次第でございます。 したがって、今後の財政運用にあたりましては、その財源の確保ということが一番心配されなければならないわけでございます。起債110億というような大きな借金政策でございます。なおまた、これが補正等を考えますと、かれこれ200億近い起債になろうかと思います。 そういうことから、一方において、これをどう返還していくか、元利返還をどうするのか、その財源がどうだというようなことを考えますと、いま、これに対して安易な気持ちを持てないのが実情でございます。さりながら、いやしくも国と地方自治体のつながりにおいて、もういたずらに放漫な経営をやってということであれば、別でありますけれども、少なくともそうした健全な政策を実施して、そして公共事業として必要なものを取り入れていくその過程において財源的になされた借金であります。でありまするから、そういう意味においては、私は、いつどうということは言えないとしても、政府が必要と認めて、その地域の発展のためにする公共事業でありますから、当然やはり政府の責任においてこれを償還できるように措置をしてもらわなければならない、かように私は考えているわけでございます。 したがって、そうした必要財源の確保につきましては、いままでも常に最大の努力を払ってまいりましたが、今後もやはりそうした努力を傾けまして、県民の皆さまに御迷惑をおかけするようなことのないように、また県の財政の硬直化によって、今後の施策が停頓させられるというようなことのないようにつとめてまいりたい、かように考えているわけでございます。 全国各県とも、やはり同じような状態にあろうかと思います。したがって私どもは、知事会はむろんのこと、手をつないで、そうした財源確保に対しまして強力に進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。 それから、景気浮揚策として、事業の早期発注、あるいはまた公共事業の完全消化、いろいろそうした点の御注意につきましては、私どもも十分注意をいたしまして、そうした方向にいくことが政府の最初からの方針でもありますし、私どもも、これは絶対必要なことである、かように考えておりまして、完全消化のために、できるだけ早期に発注をしていかなければならぬ、かように考えている次第でございます。 財政問題につきましては、概略そのように御了承いただきたいと思います。 次に、第2番目の機構改革の問題でございますが、特に環境局の設置について、いろいろ御注意を承ったわけでございますが、環境局設置ということは、いままでも、いわば公害問題と環境保全、この2つに対して、私は機構を立て直して、これに対処するようにしてまいりたい、かように申し述べてきておった問題でございまして、4月1日からそうした機構を発足させたい、かように考えているわけであります。 環境局は、すでに御案内のとおり、まず自然保護関係のものと、それから公害防止関係のものと、この2つの立場で考えていくわけでありまして、その両方に共通した問題として、やはり一番地域社会の人たちの接触しているといいますか、近間にあると申しますか、また、そうした活動が毎日なし得る立場にあり、また地域社会の人たちも、これを利用し、これにいろいろ問題を提起するというような立場からいきまして、やはり地域の保健所活動というものが一番それに密着している、そういう意味におきまして、その保健所関係、あるいはまた当然人体に及ぼすいわゆる衛生関係等の関連からいたしまして、衛生部内に環境局を置くことが一番運営に支障のない機構となるのではなかろうか、かように考えて、そういう観点から、この環境局を発足させる考え方でいるわけでございます。 その環境局のもとで、今度は各自治体との間、市町村との間の連携を緊密にしていくように、いろいろ協議、指導、そうしたものをやりまして、この活動が円滑にいくようにしなければならぬ、また、そうした意味におきまして、活動の主体となる衛生研究所でありますとか、
公害研究所でありますとか、やはりそうしたものを、内容を充実させるとともに、建物もふさわしいものを順次つくっていきたい、かように考えているわけであります。 それから、去る2月1日に、行政管理庁が環境庁などに対して行なった公害防止対策に関する勧告、これは、その全文を入手いたしておりませんので、新聞報道等で承知いたしている程度でございますが、第1番目に、技術職員の資質向上につきまして、これは必要な技術職員を増員するとか、あるいはまた、これらの職員に対して、研修会を開いて、研修会に出席させるとか、そうした職員としての資質の向上につとめていく、なお第2番目としては、今度は、設備測定器の整備、そういうものにつきましては、やはり順次整備していかなければならぬ、こういうぐあいに、それらの勧告に基づく措置を、県としても十分対応できるようにしていきたい、そのためにも、公害衛生研究所をつくるとか、そうしてその必要な機械、設備の充実をはかっていくとか、そういうことをして実情に合うようにしていきたい、かように考えているわけでございます。 それから、次が社会福祉の対策につきまして、いろいろお尋ねがございまして、特に老人を対象とする問題についてのお話がございましたが、これは、やはり全国的な一つの動きとして、老人医療の対策の推進ということについて、非常にほうはいとして起こっておった問題でございます。 政府としても、最初、ことしの11月から70歳以上の老人医療を無料化していくという方針を一応きめたわけでございます。 また、私どもも、それを喜んでおったのでございますが、今度は、だんだん財政的な問題が主でございましょうが、政府のほうでその実施をおくらせるというような話がございました。 それで、私、特に党の小坂善太郎政務調査会長にお会いして、何としても、ひとつそんなおくらせることのないように、せっかくのこれだけのあたたかい考え方が、わずかなことで施行時期をあとにおくらせるというようなことは、もうほんとうに残念だ、画竜点睛を欠くから、何としてもひとつ実施してくれ、その際、私が口をすべらせて、国がやらないなら、もうこのことだけは、県でも独自におれはやるつもりだ、こういうことを、実はそこで少しみえを張ってしまったのです。 でありますから、もう私としても、国はやはり大蔵省――まあ、大蔵省というと、どうだか知りませんが、なかなかイエスという色よい返事が来なかった、やむを得ない、こういうことになりましたので、ちょっとみえを切った手前、やらざるを得ないような羽目に追い込まれた分も幾らかあるわけです。 ですけれども、私は、これは、やはりやっていいことだ、皆さんも喜んでいただけるでありましょうし、それからまた、その経費にいたしましても、財政困難な折ではあるが、まげてひとつ承知して、皆さんから御了承していただけるもの、実はかように考えて実施を早めた、そしていままでの
寝たきり老人、今度はそれに加えて、
一人暮らしの老人、そうした方の老人医療の対策について、できるだけ手厚い対策を立ててまいりたい、かように考えているわけでございます。 それから、同じく難病対策でございますが、これはスモン病とかDH剤の中毒症とか、いろいろそういう特定の疾病があるわけでございまして、非常に社会的な不安が高まっている今日でございます。 そういうことからいたしまして、県といたしましては、そういう対策協議会をつくる、スモン対策協議会及び新しくDH剤の中毒症対策協議会を発足させて、患者の実態を把握して、そうしてこの治療をいかに進めるかという研究を推進していきたい、かように考えまして、新潟大学あるいは県医師会の皆さん方の御協力を得て、来年度実態調査をしていこう、こう考えているわけでございます。 そういうことからいたしまして、御案内のとおり、国におきましても、厚生省に特定疾患対策室というものを設置する予定と聞いておりますが、こうした国の対策と相まちまして、県でも総合的な対策を進めまして、これに対する予算措置、先ほど戸田さんから、きわめて僅少ということでございますが、これは、一応いまの段階においてなし得ることでございまして、その研究の成果に従いまして、どういう対策が必要だ、具体的にその対策が検討されましたときは、それに対する必要な予算というものは、私は惜しむような気持ちは毛頭ありません。十分予算措置を講じて、県民の健康、特にそうした不幸な難病で困っておられる方に対しては、十分理解をいただけるような予算措置を講じてまいりたい、かように考えております。 それから、次が、47年度の米の生産調整の問題でございます。これは、私、常に申しておったわけでございますが、何としても地域の特性を生かして、いわゆる地域分担を十分考慮に入れてやるべきであるということと同時に、また戸田さんからも御指摘がありましたように、正直者にばかを見させてはならぬ、いままでの実態を振り返るときに、そうした疑義を持つ点が多々あったということからいたしまして、そういうことのないようにということを強力に申し入れておったわけであります。そうして、もし去年と同じならば、私は、新潟県は協力できませんとはっきり農林大臣に申しておったわけであります。 いろいろ政府の立場、農林省の立場におきましても、そうした点を十分考慮に入れまして、生産調整のことしの数量を発表するにあたりまして、また各県への配分等を見ましても、そうした点も十分に考慮に入れた、さらにはまた、これに協力した人、協力しない人との間に大きな差があってはならぬというようなことから、1俵に対して去年300円であったものを、ことしからは600円奨励金として払う、こういうように予算措置も十分考えた。だから、いまの政府の立場からいって、需給状況や、あるいはまた在庫米等の関係からいって、生産調整は依然として必要であるというこの現実に対して、私どもは否定するものではないわけでございます。 したがって、政府が、そうした生産調整を、今年また農家に協力を求めるにあたって、その協力する農家が、それに理解を持って十分こたえてくれるような措置を、政府みずからが率先してなすべきであるという主張を、ある程度政府がいれたというものでありますから、なお十分とは申しかねる、でありまするけれども、一応そうした誠意を認めて協力していくということに私は考えを固めたわけであります。 したがって、先般、各農業団体、農家の団体あるいはまた市町村長さん等にお集まり願って、昨年同様ひとつやっていただきたい、協力をしていただきたいというお願いをして、配分計画を決定したわけであります。 市町村の配分にあたりましては、昨年から、地域の特性等を十分に考慮しているわけでございまして、大体昨年の方針を踏襲したわけでございます。 先ほどの戸田議員の御意見の中に、幾らか何か不公平の配分を行なって、矛盾を感じているようなお話がございましたが、県の立場といたしましては、もう十分公平を旨として、そうした不平のないようにということに最大の考慮を払って、公平な配分を行なったわけであります。 ただ地域別の農業生産の
長期見通し、いわゆる指標というものをつくった、これは御案内のとおり、昭和52年度を想定して、県内各地域の農業のあり方について好ましいと考えるものを表としてつくったわけであります。 したがって、その52年度までに、そうした各地域の指標に従うような今度は手を打っていかなければならない。でありますから、いま直ちにその指標というものが、この米の生産調整の配分との関係において効力を生ませるということは、なかなかまだできておらない。でありまするから、そうした点を考えまして、一応去年のものを基準として、そうして水田の増減等のあったものに対して配慮を加えて配分をいたしまして、それが一応公平に、不平のないようにということを十分考慮して行なった、こういうことに御解釈を願いとうございます。 それから米価の問題でございますが、米価の問題に対しては、今度はだんだん量から質というように、消費者の選択というものが非常に重要視されてくる時流になってきた、これに対処していくために、できるだけ良質のものを、そうして喜ばれる新潟米として、市場価値の高いものをぜひつくっていきたい、こういう方針で各地域の農家に対して、新潟米の推進運動、実践運動をお願いしているわけであります。 そういう意味からいたしまして、品質のいいものは市場価値が出て、そしてまた、これがいわゆる米価決定の基準になって、おのずと消費者に好まれる、嗜好に合うものがやはり勝利を占めていくということになるわけでございます。 でありますから、そういう意味で、私は、少なくとも新潟県の米に対しては、十分そうした成果をかちうるような米価というものをひとつ認めてもらいたい、かように考え、そして大きな消費地に対して、これらの宣伝を十分していかなければならぬ、かように考えているわけであります。 政府決定の買い入れ米価については、これは、もう私は、そうした関係県の知事とともに、再三にわたりまして、すでに――できる限り配慮してもらわなければならぬことは、もう今日まで2度も3度もその話はしておるのであります。 ただ、政府として生産調整をする必要性のある需給状態において米価を上げるということは、なかなか容易なことではない、理論一貫しておらぬ、こういうようなことを、政府の立場でやはり困難さを感じているということを申しておりました。 それらもそうであろうけれども、私ども米の生産に非常にウエートの多い産業を持つ新潟県として、農家の経済、ひいてはその購買力、そうしたものが一般に及ぼす影響というものは、他の県と比較にならないほど大きなものである、したがって、これに関心を強く持つのは当然なんだ、そういう意味で、米価決定に際しても、消費者の立場もあろう、しかしながら生産者の農家の多い新潟県として、一応米価というものに対して、そうした点を考慮に入れて、もう2年も3年も据え置くというような、今日から考えて非常に憂慮にたえないのであるからということで、米産県の知事とともにこの運動を進めてまいったわけであります。 ですから、今後ともそうした点に対して十分注意を払い、政府に要望するものは強く要望してまいりたい、かように考えております。 それから林業の問題でございますが、戸田先生から、非常にこまかい点にわたって御注意がございましたが、何と申しましても、いま環境保全ということが非常に強く叫ばれている、そうして全国の緑化推進委員会というものが、ことし新潟県で
全国植樹祭を行なう、こういうときでございますので、特にこれを記念する意味におきましても、ひとつ林業公社をつくって、そうしてその林業公社の活動を中心として全県的に大きく緑化運動を進めていく基礎をつくっていきたい、こういうことから、8月1日発足を目途としてその計画を進めているようなわけでございます。 したがって林業公社の事業の内容でありますとか、あるいはその規模というものは今後検討して、十分期待に沿う、また目的にかなう活動のできるように公社を設立させていきたい、かように考えているわけであります。 それから林道の用地の補償の問題につきましては、もう非常にきびしい御指摘がございまして、まさにそのとおりでございます。 現在、そうした他の公共事業の用地補償というものを考えますときに、これは非常におくれておった、こういうことを痛感しているわけでございます。 したがって林野庁におきましても、そうした点に対して、非常に前向きで検討をするように現在態度が変わってきている。でありまするから、私は、近い将来、こうしたものも、やはり林野行政のうちに当然制度化されていく時期の問題である、かように考えているわけでありますが、なお一そうそうした問題について、政府の努力をお願いしていかなければならぬ、かように考えております。 これを、単県林道についてもひとつというお話でございますが、先ほど来、県の財政事情等をお話し申し上げてまいって、御理解いただけると思うのでございますが、他県にもまだ例もないことでございます。したがって、県といたしましても、いま直ちにというわけにはまいらないと思いますが、林野庁の前向きに考えている姿勢の成果と十分あわせまして、これにどう対応していくか、県単の仕事もこれとうらはらの仕事になろうかと思いますので、したがって、それらをあわせて進めてまいりたい、かように考えております。 それから林道舗装の補助率でございますが、10分の1であったものを、今回6分の1ということにして、負担の軽減をはかったわけでございます。 なるほど十分とは申しかねますけれども、現状やむを得ない、それでも一歩前進したのだ、今後御指摘の3分の1できるように順次努力をしてまいりたい。一ぺんに最終目的に到達するということは、何でも容易ではないと思いますけれども、これ等も、やはりそうした一歩の前進を認めていただいて、今後さらに努力をしてまいりたい、かように考えております。 それから、最後に、森林組合の問題でございますが、もう実態は、戸田さん御指摘のとおりでございます。したがって、県といたしましては、従来からもそうでございましたが、単に合併大型化というような形式的なことではなくて、経済団体として自立ができる、やはりこういうように指導していかなければならないわけであります。 そういう意味において、近年、ある程度内容も充実されつつあるわけでございますが、さらに植樹祭を契機として、一そうそういう森林組合の各地域、地域における活動について、そうした自立できる経済団体として育成するための措置を順次強化してまいりたい、かように考えている次第でございます。 それから、最後に、高等学校の授業料の値上げでございますが、この問題は、もう非常に議論の多かった問題でございます。 いろいろ他府県とも相談してみましたし、また政府に対しても、私の意のあるところを十分に話をしたわけでございます。そういたしまして、結論としては、新入生からだけ400円多くちょうだいする、そうして定時制というようなああした内容を持つ生徒の授業料は上げない、据え置いていく、一応こういうことにいたしてきたわけでございます。 私は、こういう問題で、全国の各県が、自分の県の財政力によって、自由裁量によって、ばらばらにおれは上げる、おれは上げない、こういうことをやるべき性質のものではないじゃないか、本来こうしたものは、教育という共通の問題であるから、全国一律に、おれは身上がいいから、そんなものは取らないのだというようなことではなく、やるならやる、やらぬならやらぬで統一して行動のとれるような解釈を持つべき性質のものではなかろうか、そういう点について、大体文部省の指導方針がはっきりしていないじゃないか、そういうように強く文部省に善処を要望いたしたわけであります。 そうして文部省の解釈も、やはり私が一応新入生だけで――過去に、いままで入っている人たちは、これは一応の既得権だ、と同時に、そういう条件のもとで入ってきているのだ、だから、かってに条件を変えるということは、解釈上私は間違っていると思うから、新入生だけは取ると言いましたら、文部大臣もそのとおりだということに解釈を統一していただいたわけであります。 でありますから、そういうような形でこれをやっていく、と同時に、たとえこれは1億1,000万円ですか、1億2,000万円ですか、であっても、そうした県の財政の助けにはなるわけであります。これを、かりに取らないということになれば、これを取ったとみなした形において交付税の措置が講ぜられるということでございますれば、ますます硬直化している県の財政にやはり支障を来たすということから、これはちょうだいしなければならぬ。決して本意でやったとは私は思いません。できるならば、そんなことのないことが一番望ましいことでありますけれども、やむを得ない。そうしてまた、いろいろな客観情勢を考えますとき、父兄にいたしましても、800円が400円加わって1,200円になる、そういたしましたときに、その負担というものが、ほかの要素と比較いたしまして、教育の必要な経費というものが――この授業料を、800円をきめてから今日まで8年間据え置いている、その間一体学校の経営の経費というものは、どんな推移をしているか、そういうことを考えていただけるならば、これは自分の子供の教育のために、月400円の負担というものを、私は十分喜んでしていただける、かように考えているわけでございます。 そういう意味からいって、授業料のそうした値上げをお認めいただきたい、また、これがいわば負担の軽減その他いろいろな面におきまして、奨学資金の制度であるとか、あるいはまたPTAの負担としてお願いしてきておったような、いろいろなそうした経費というものにこれを充当させて、実質的には、やはり父兄の負担の軽減につながるような使途を考えて、この値上げが無に終わらないように、実際に父兄の皆さんからも御理解がいただけるような効果を生み出すことを念願として考えているわけでございます。 以上をもちまして、終わります。 〔戸田文司君登壇〕
◆戸田文司君 知事さんは、たいへん御丁寧に説明をされまして、私の質問よりも長い時間でございますが、(笑声)その中で落ちているのが二、三ございます。 知事さんの施策によりまして、65歳以上の
寝たきり老人を無料にしていただいたのだから、今回
一人暮らしの方も――これは何人いるのか、民生部長からお答え願いたいのですが、わずかでしょうと思うから、
一人暮らしの老人も、やはり65歳にして無料化を願えないか、こういうことをお聞きしたのですけれども、これに対する明快な答弁がございません。 それから国が1月1日から70歳以上の者の医療費を無料とするのだから、4月から12月まで単県で何とかしていただきたい、こういうことなんですが、これができるかできないかということでよろしゅうございますから、御丁寧な説明でなくて、いま財源がなくてだめならだめだ、この御返事をいただきたい。 それから林業問題につきまして、県下に88の単位組合があります。県森連の合同した組合については援助をいただいておりますけれども、88の
単位森林組合は、何ら援助をいただいていない。ただ造林奨励だけなんです。そのために、賦課金を徴収して職員をかかえてやっているのですから、これは加入脱退自由でございますから、何も恩典がなければそんなものは脱退してしまえというのが、現在の
単位森林組合の実態でございますから、88の森林組合に、たとえ20万円でも何でもいいから、森林造成費として出せないか、こういうことでございます。 この3つについて、めんどうを言わぬで、あまり丁寧でなくていいから、(笑声)いま財政が成り立たないからだめならだめでいいのですから、御返事願いたい。 〔
知事亘四郎君登壇〕
◎知事(亘四郎君) 戸田さんのお尋ねの老人医療の問題でございますが、一応
寝たきり老人は65歳としたわけでございます。今度の
一人暮らしのを70歳といたしましたのは、一応国のほうで考えた老人医療の対象年齢が70歳、こういうことでございましたので、それを基準にそのまま取り入れた。
寝たきり老人は、やはり寝たきりという特殊な事情がございますので、いままでどおりの65歳にしていく、こういうように私は解釈を聞いて、了承しているわけでございます。 それから保険で現在やっている者に、自己負担の分だけをあと見るということでございますので、これは、それだけを見ていこう、来年1月からというのを、ことしの4月からひとつやろう、こういうことに私は大体了承しているわけでございます。 もし私が間違っていると悪いから、民生部長から、またよくあらためて、間違いのないように、そうした点についての説明をしていただきます。 それから今度、森林組合のほうは、何と申しますか、私が了承している範囲におきましては、やはりある程度の貸し付け金だとか、いろいろなことでその活動を強力に継続してきておった、こういうように私は現在記憶しているわけなんでありますが、補助金のものはどの程度になっているか、いま戸田さんは一文も単位組合に出ていないのだ、こういうお話でございますが、あるいは単位組合でなくて、そうした連合体のものを対象にして県の立場でやっておったかもしれません。したがって、そうしたものに対して、私は十分検討させていただきたいと思います。 〔民生部長矢野達夫君登壇〕
◎民生部長(矢野達夫君)
一人暮らし老人70歳を、
寝たきり老人と同様に65歳にしないかという答弁につきましては、ただいま知事から答弁があったとおりでございますが、もう一つ、答弁落ちがございますので、御説明をさせていただきます。 48年1月から、国の制度が70歳以上の老人全員に行なわれるわけでございますが、それまでの間に県が70歳以上の老人全員についてやらないかという御質問がございました。 この点につきましては、もうもっぱら経済的な金の問題でございます。特に国の制度が行なわれます場合には、国から3分の2の金が参ります。したがって、県と市町村は6分の1ずつ持つということでございます。大体1カ月で1億数千万円という数字がかかり、年間で十四、五億円かかるというようなことでございますので、9カ月でございましても、10億円は優にかかるというようなことで、もっぱら経済的な理由でそこまで考えてはみましたが、たいへんむずかしい問題であるということで、今回はこういうことが考えられなかったということでございます。 〔「知事はやると言ったじゃないか、いまの答弁とは違う、統一見解を出せ」と呼び、その他発言する者 あり〕
○議長(鈴木太吉君) 矢野民生部長より発言を求められております。これを許します。矢野民生部長。 〔民生部長矢野達夫君登壇〕
◎民生部長(矢野達夫君) 知事答弁と私の答弁との食い違いは、私はないものと理解しております。ただ、知事から、自己負担分について、いわゆる保険の残りの自己負担分について、老人の医療費の対策が行なわれているというようなことばが、ちょっとございましたので、御理解いただくのに、ちょっとまずい面があったかもしれませんが、決して内容的には食い違いはございません。 ――
―――――――――――――――
○議長(鈴木太吉君) 次に、志苫裕君の発言を許します。 〔志苫裕君登壇〕(拍手)
◆志苫裕君 日本社会党を代表して、わが党の考え方も述べながら、知事の見解をただしたいと思います。通告を幾つかやっておきましたが、あるいは時間の関係でカットするものがあるかもしれませんので、その点を御了解いただきます。 第1は、財政運営の基本的な方向、基本的な考え方についてであります。 円の切り上げを契機にいたしまして、日本経済の転換が強く叫ばれております。その方向が、いわゆる高度経済成長型から福祉型への転換であることはすでに国民大多数の合意を見ているところでありますが、今日の経済状況は、国民生活の基本にかかわる政策を犠牲にしながら、ひたすら進めてきた高成長政策の当然の帰結であります。いま、経済政策の転換が叫ばれておりますのは、この点の反省を意味しておるわけであります、したがいまして、これからの経済政策の最低要件は、いままでの方式の否定であり、国民生活の権利回復でなければなりません。 政府は、予算編成にあたりまして、このような国民の声に符合して福祉重点で「イイヨナオシ」予算を組んだ、こういったのでありますけれども、でき上ったものを見ますと軍事優先、産業優先、公共投資を景気回復に利用した超大型の予算でありました。もちろん、住宅など幾つか伸びておりますが、総じて福祉の看板は大型公債をはじめ、予算をふくらませる口実に使われたにすぎません。 40年不況で公債発行に踏み切ったときにも、大義名分は社会資本の充実でありましたが、実は景気浮揚対策に利用されて、国民はまさにパンを求めて石を与えられたわけであります。今度も、大型国債で景気を刺激し、高成長を再現しようとするそのパターンに変化はありません。 社会党は、福祉型への転換を要求するためにさまざまな、幾つかの提案を行なっておりますけれども、その一つの最も単純で具体的な方法として、国民あるいは県民の福祉のすべてを担当しておる自治体の財政を徹底的に強化をすることによって国の財政構造や経済政策の流れを変える、こういう主張をいたしております。同時に、自治体自体においてもいままでの財源配分のパターンを切りかえる、いわば下からの改革を断行すべきときだと考えるのであります。 さて、以上の観点でことしの地方財政計画並びに県の予算を見てまいりますと、まず問題になりますのは、知事が所信表明で述べておりますように「公共投資の拡大を通じて、国とともに景気回復の役割をになおう」としておることであります。その財源対策として大幅な起債、高校授業料まで当て込んでおることは一目りょう然であります。 公共投資をして景気浮揚をはかるというこの発想の転換が求められておるときに、このような財政運営を繰り返すということは、知事がどんなことばを使おうとも、福祉県政への努力を放棄したものといわなければなりません。 確かに地方財政は危機であります。しかし、それは不況でにわかにやってきたものではありません。住民のためにやらなければならない仕事が置き去りにされているという点では、自治体財政はまさに慢性的な危機であります。ちよっと景気がよくなったら好転をするとか、不景気になったから危機になるというようなものではなくて、ほんとうの危機は国あるいはそれと共同した自治体の高成長路線そのものに危機があるわけであります。 不景気による一時的な危機だという理解だけであれば、たとえば特例交付金であるとか公共事業の負担分を補てんするとか何とかで、何とかなるわけでありますけれども、いま述べたように危機は慢性的で、しかも高成長路線そのものにあるのでありますから、当面を糊塗したり、ましてや景気浮揚―高成長という路線への逆戻りではますます危機を増大するだけであります。 このたび知事が提出した予算で住宅、公害対策、環境対策などで部分的には高い伸び率を示したものがあります。その努力は多といたします。しかし、この圧倒的部分は産業基盤の公共投資、いわゆる景気浮揚策で環境もしくは福祉予算が少々伸びたといっても、予算全体の構成を何ら変更してないわけであります。福祉型というからには、これまでの資源配分のパターンを変える、公共事業の目標を置きかえるというものでなければならぬと思うのであります。 公共投資の多くが国の長期計画――いわゆる長期計画、幾つかあるようであります。第6次道路整備計画とか、港湾何とか5カ年計画とか、第2次住宅5カ年計画とか、いろいろとそういう長期計画がありますけれども、そのような長期計画でもうすでにワク組みされておるというところに、もちろん大きな問題があるのでありますが、計画そのものの財源配分、たとえば高速道路等を含めて道路だけでも約10兆、一方住宅は4兆くらいになりますか、これなんか、まるきり逆にしたっていいと思うのです。 そういう意味での財源配分を変えさせるというような努力をしなければなりませんけれども、それにはまず限られた財源でも自治体自体がそれの主導権をとる、このような自治体財政の運営を指向すべきであろう、このように考えておるのでありますけれども、この財政運営の基本的な考え方についてまず知事の所見を尋ねておきたいわけであります。 さて、私は、福祉型への転換といういま述べた基本的な考え方に立って二、三お尋ねをいたします。 1つは、県政の軸としている長期構想についてであります。 知事の所信表明でも、さきに定めた長期構想を軸として、こうなっておる。ところで、この長期構想は年率12%という高成長路線のもとにつくられております。それをささえるための総合政策がいわばこの長期構想でありますが、現実、先ほど述べたように、高成長路線の転換が指向されなければならない今日において、この構想を軸として県政を進めるということは、福祉型県政に到達することができないということであります。今日まさに迫られておるのは、この長期構想路線の転換を迫られておるわけであります。 後ほど出てまいりますが、農政の
長期見通し等もいろいろとあります。しかし、その大前提はいわゆる第2次、第3次産業のある成長を当て込んだ、いわばこの長期構想の基本になっておる年率12%という高成長路線のもとに組み立てられているわけであります。そこで、このような考え方に立ってこの長期構想路線転換が問われておるときなんだから、長期構想はどのように扱うか、私はこれは廃棄をすべきである、修正をすべきであると考えるのでありますが、知事の考え方をお尋ねしておきたいわけであります。 2つ目は、高福祉高負担の名のもとに受益者負担の原則で、軒並み公共料金が上がっておることに関連してでありますが、鉄道、バス、タクシー、米は4月から物統令の廃止で、配給米が大体自主流通米並みに上がっていく、こうなるようであります。新潟県は直接関係がないようでありますが、公団家賃、電気、ガス、水道、加えて多額の公共投資の2割以上を占めるであろう用地についての地価対策はありませんから地価は上がるであろう、それが諸物価にはね返る。こうした事情のもとで県は財源対策として高校授業料を50%値上げしようとしておるのであります。 先ほど戸田議員との間にいろいろやりとりがありましたが、高校教育は実態から見ても希望者の9割何分が行っておるのでありますから義務教育みたいなものです。また原資を見たってせいぜい1億の収入。伸び率がわずか0.何%でも何十億と伸びる公共投資から比べたら問題にならない、このような高校授業料を上げる。もちろん知事はこれを倍にして返す、こう言っておりますが、はたして倍になっておるかどうか、私のほうではわけのわからぬやり方でありますけれども、実は父兄負担の軽減というのは、わけのわからぬやり方をしても減らぬのであります。特定のものを指定しない限りは、事業費をそうそうよけいに支出しても父兄負担が一向減らないというのが現状でありますが、とにかくこの際そういうことをあれこれ考えて、私はやはり値上げは中止をすべきである。 それで知事、このこともあわせて聞いておきたいのでありますが、いろいろと上げ方をくふうしておるようでありますが、ほんとうは上げたいのですか上げたくないのですか、ここのところをはっきりさして、何か全国に平らにやるものだと言っておりますが、それは、自治のたてまえからいけば自治体は自治体なりのくふう、努力というものがあってよろしいという意味でこれは上げるべきでない、このように考えるわけであります。 時間が迫りましたので私のほうからの主張はやめにしまして、ただ簡単に、とにかくこういう状況でありますから、地方財政の抜本的な強化策がない限り、当面の糊塗策で自治体財政の危機を救うことはできないわけであります。私は、公債政策そのものについていろいろな意見はありますけれども、時間がないので省略をしまして、私は、この際、知事に抜本的な地方財政強化策について所見があるかどうか、このことを聞いておきたいわけであります。 われわれは、少なくともいまの交付税方式やいまの財源構造ではだめだ。税の自然増収にたよる、足りなければ公債を抱きかかえるという仕組みにしても、これはやはり間違っておるというふうに考えるわけですが、ひとつ知事の抜本的な地方財政強化策を聞きたい。 4つ目は、歳出にかかわることでありますが、福祉型にふさわしくこの際二、三の提案をいたしますので、ひとつしかと努力をしてほしいわけであります。 第1番目は老人医療です。先ほど老人医療を4月からやらぬかと言ったのじゃなくして、やれるかやれぬかと聞いたようでありましたが、まさに自治体先導型で国が手をつけた、けっこうなことだと思うのです。これは不十分ですよ。不十分ですが、われわれの熱心に主張したことがめどがついた。やられる。予算の数字にあらわれるようになったという点ではわれわれは非常に歓迎をいたします。 そこで、私は4月からこれを繰り上げて実施をせよということを主張したいのでありますが、このことはひとまずおいて、老人医療の70歳以上の中で、いわば扶養義務者の所得制限があります。この扶養義務者の所得制限については本県は徹廃すべきである。お年寄りになって自分で金がある者はまだいいですよ。しかし、子供に金があるからということで、6人家族で250万というのでありますから、たいしたものじゃありません。この扶養義務者の所得制限は徹廃すべきである、これがまず1つ。 年寄りの次に子供を申し上げます。 私は、この際、医療の問題をもう少し前進させる意味で、県は市町村と相談をして3歳くらいまでやってほしいのでありますが、そこまで欲は言いません。とりあえずゼロ歳児、乳児の医療に手をつけられぬだろうか。 ちょっと調べてもらいましたら、ゼロ歳児は3万7,000人から3万8,000人くらい生まれているようであります。
死亡率が最も高いのはここであります。1,000人に13.4人、全国より少し高目に新潟県は死んでおります。ゼロ歳児で500人ばかり死ぬのでありますが、1歳になると一ぺんに100人以下に減ってしまうのでありますから、ここで圧倒的に死ぬということがわかります。医者にかかる率の最も高いのは65歳前後のお年寄りが1番目で、次いでゼロ歳児、こうなっておるわけであります。医者にかけ込む率が最も高い。 乳児死亡の半分は未熟児だということになっておるようでありますが、この命はめんどうの見方によって完全に助かる、このようになっております。こうしますと、われわれは政治や行政の怠慢のせいで、実は年々何百人かの県民の命を落としておるということになるわけであります。 ちなみに、未熟児の医療費は月5万6,000円、たいへん高いわけであります。もっとも、県は2.2キロ未満の子供を未熟児にして、4割ばかりめんどうを見ているようでありますが、それでもたいしたものじゃない。せめて未熟児だけでも何とかならぬかという希望があるようでありますが、私は、ここのところを一歩進めて、ゼロ歳児全額無料ということで子供の命を救うべきだ、このように知事に提案をするわけであります。 公害対策についてはいろいろとありますが、入れもの行政で名目の変わった建設投資になっておったのじゃかなわぬと私は思うのです。その意味で、中身をもう少し詰めることをいろいろと提案しておきたいのでありますが、特に保健所を手足に使うというのでありますが、これは何ら強化されていません。これはやはり人ですよ。そういう意味で、人の強化というものについてこの際知事からしかとした返事をほしい。 だんだん時間が詰まってきますので省略していきますが、次に病院問題。病院問題でいろいろと指摘をしたいのでありますが、ただ一つ、結核問題についていわば第1次に提起した方針を変えていないようでありますが、私は、知事にこの際もう一度提案をしたい。 かつてのころと同じようにいま結核の状況がないことは承知をしております。ですから、状況に合わせて結核病院も、ベッドも、たとえばまとめたりしなければならぬ、再配置をしたりしなければならぬ、再編成をしなければならぬという点については合意をいたします。問題は、どこの地域にどういう施設を配置するかということは、いまある各病院の病棟数、結核患者の分布、それから専門的な病院、すなわち、療養所のいまある状況というものを総合的に再編成した上で三条をどうするかという答えが出ると私は思うのです。私は、いまの三条のあの場所、あの病院でなければならぬということをいま言っていません。 しかし、一般的に言えるのは、三条や長岡や燕や加茂や、あの辺を中心にした県央地域には専門的な結核施設がないということ、これは指摘ができるのであります。そしていまの肺病、これからの肺病というのは、一定の地域性をもって配置しなければならない。病院におってもうちのことを指図する、なおった患者も絶えず病院へ行き来する、そういう関係を必要とするという意味では、あの地域の結核医療施設をどうするか、全県の再編成をどうするかということをもう少しわかるようにした上で相談をしなければならないという意味で、この点は再度検討されてしかるべし、このように思うのであります。 広域行政問題について次にお伺いをしますが、広域行政問題については、われわれは率直に言うて、いま広域市町村圏がたいへんな勢いで進行しておるのに、実はこの取り組みがおくれておったということを反省しながら、この際社会党の態度も明らかにし、知事の見解をただしておきたいわけであります。 まず、広域市町村圏は新潟県は指定があと3圏域残っておるようであります。しかし、事実上村上のほうは何か協議会ができたようですから、事実上2圏域。 そもそも広域行政というものを考えてみましょう。広域行政というのは、もともと府県そのものの機構、機能であります、行政の広域化に対処するのであれば。自治法にありますように、市町村の区域を越えた広域事務を行なうものが府県とされるわけでありますから、広域行政は県がやればよろしいわけであります。ところが、またなるほど特定の諸問題に限って自治体協議会、一部事務組合等のものがあるようでありますけれども、もともと、そういう意味でも広域行政は市町村の必要に応ずるものであります。 ところが、今日行なわれておる広域市町村圏という名の広域行政は、圏域の設定から計画のしかたから、1から10まで国、県の押しつけじゃありませんか。いつ市町村のほうが言うてきました。1から10まで全部まさに権力的に国、県がこれを押しつけて、そこには各自治体の創意や住民参加というものはみじんもない。私はいま行なわれておる幾つかの計画や事業実施計画を見てつくづくと感じておるのであります。しかし、市町村のほうはわずかばかり銭がついて、その誘導政策に引きずり回されてこれにくっついておるようでありますけれども、これは言うならば自治体の環境が荒れて、あれもしたいこれもしたいという要求がある。その要求をさか手にとって広域行政を押しつけておるという、非常に悪らつなやり方だと思うのです。 で、内容を見てみますと、根幹事業である主要道路の整備というようなものは、なるほど共同計画は立てるが、事業は自治体事業だというふうになっておりまするから、自治体の自主性はあるようでありますけれども、しかし道路はどうでしょう。部落と部落をつなぐ道路、町と町をつなぐ道路というものは計画で認めるわけにはいきません。必ず村から町、町から市、市と市という基幹都市へ向かうものでなければ道路計画を認めない仕組みになっておるじゃないですか。 このような状態で、広域市町村圏という名の広域行政はまさに過疎切り捨てであります。いわゆる高成長路線に基づいた自治体再編成になっておるわけであります。こういう意味で、ひどいところになりますと、この広域行政の仕事として
教育委員会を全部1圏域にまとめてしまうというばかげた計画まで組んでおるところもあるようであります。 私は、広域行政の本質のものについていろいろと触れたいのでありますけれども、時間がありませんから省略をして知事に申し上げたいのは、いま市町村連合法案というふうなものを出されておる、そういう背景等を考えてみますと、われわれはこれを断固として認めるわけにはいかない。 たとえば、広域市町村連合ができれば、それは事実上市町村の事務の全部がそこへ移るといういわゆる全部一部事務組合みたいなものになってしまいます。統合事務組合です。執行権限に天下り官僚がすわる、すなわち事務局長制度であります。住民のコントロールは事実上不可能になる。いろいろと弊害を生んでくるわけでありますが、広域行政のほんとうのねらいは府県合併にあるわけであります。 千葉県の公害が茨城県にやってきて困るといって住民が苦情を出したら、そこの財界の首脳いわく。千葉県と茨城県があるからそういう問題が起きるのであって、いっそのこと「チバラギ」県にせよということを言っておる。これがまさに広域行政の本質です。中部電力が中京3県にまたがる水を一体的に利用したいと思えば、3県統合を打ち出すのが中京圏構想じゃないですか。 このような形で、国土を資本のために一元的に管理をしようとする、この広域行政を意図しておるのがこの本質でありますけれども、そういう意味で、われわれは断固として広域行政、広域市町村圏に反対をいたします。知事は、少なくとも自治を守るという観点に立って、直ちに広域市町村圏構想を進めることを中止する、市町村連合法案には断固として反対をする、このような意思表示をすべきだと思いますが、いかがでしょう。 高速交通体系の問題についてはあとの質問者に譲ることとして、ただ一点、いま国鉄ローカル線の打ち切りが問題になっています。 一方ではなやかな新幹線、ハイウエーというようなものに血道を上げている陰で、この3月15日より73本、旅客のキロ数にして887キロ、直江津へ3往復するだけのローカル線が廃止になっています。これは毎日の住民の足である。その後通勤者などの反対で3本が復活しもしくは時間変更になったようでありますけれども、鉄道利用債まで引き受けておる新潟県が、住民の足が奪われるとき何か音を出しましたか。住民の運動で3本が復活した。県はこれに何らの音も出してないわけであります。 高速交通体系の前に、われわれは生活交通体系を確立したいと前から主張しておる。それが現に足元からくずれておるという点でこのローカル線の打ち切りを重視しておるわけでありますが、これについて知事は直ちにこの議場において反対であるという意思表示をすると同時に、国鉄当局に抗議を申し入れるか要請に出かけるべきだ、かように考えるわけであります。 次に、農政の問題について二、三お伺いをいたします。 また生産調整をめぐってトラブルを起こす時期にきておるわけでありますが、前と同じ議論は繰り返しません。ただ、知事に指摘しておきたいのは、生産調整というこの行政主導型の農政の結果、現実はどうなっておるか。もうすでに前から指摘をしておりますように、私は、いままでの議事録から拾いながら皆さんが言っておるのをまとめてみますと、生産意欲が減退をしておる、農地と農業が荒廃をしてきた、農家経済が悪化してきた、米の値段だけ見ても、43年に1,080億あったものが、46年にはもう800億に減っておる、関連産業は不況で倒産だ、地域商店街のぐあいが悪い、出かせぎがふえる、出かせぎに伴う悲劇も増大をしておる、農業経営もあぶなくなった、各種の負債というものは固定してどうにもこうにもならなくなっておるというさまざまな声が、この議場を通じてぶつけられておる。 そこで、この種の現象に自然はそうなったのではありません。生産調整という国策、行政主導で強行されたのでありますから、一切の責任は国と県が負うべきものであります。県は
長期見通しや技術体系などを発表して、何か新しい農政をやるかのような印象を与えようとしておりますけれども、その前に、まずここ数年にわたる農政について、先ほど述べた諸問題について深く反省をして、農民に謝罪をすることから出発すべきだと私は考えるのであります。そしてことしの生産調整については、従来の実績から見ても国の明示額を告示するにとどめて、個々の農家に割り当てをするとか強制するとかいうことはしない、このことを知事から言明してほしいのであります。
長期見通しについて二、三尋ねます。 まず、この見通しは現行食糧管理制度というものを存続し、守り抜くという前提に立っておるものかどうか。あわせて食管制度に対する方針を伺いたいのであります。 第2に、先ほど述べましたが、この
長期見通しの特徴は、いわゆる計画全体としては高度経済成長政策を前提としておることに問題があります。第2次産業を60年に6倍ないし7倍にふくらませよう、農業は全体として1ないし1.七、八だという長期構想がありますけれども、この高成長路線というものを踏んまえて、それにふさわしく農業の装置化、システム化を強力に進めて資本農業に徹しようとしておるところに一つの特徴があります。 しかし、その路線は冒頭に私が述べたように大きく変更を迫られておるのでありますから、これもそういう点で大いに検討の余地あり。しかし、その反面で余剰労働力の利用、誘導、救済等には具体策が提示されておらないという欠陥を持っておるでしょう。 農用地は田畑ともに縮小されて、未利用地の利用造成は長期構想の3万ヘクタールに比べますと、わずかに4,600程度でありまして、全体として農業縮小傾向にあるということであります。 米の作付面積、生産量ともに1割以上減っております。反面、畑作、果樹、畜産等がそれぞれふえるということになっておるのでありますけれども、その保証ともいうべき価格対策に見るべきものはありません。流通過程で商業資本に食い荒らされる、これに対する対応策も立てられていないようであります。 そこで、まず米についてでありますが、長期構想では10%の作付面積は減るが、ここでは作付、収量ともに1割減っております。おそらく生産調整の延長を考えているのでありましょうが、知事、米の生産調整は、あなたのことばをかりればこの時期における緊急避難ではなかったのじゃないですか。にもかかわらず、長期の見通しにおいても生産量を1割減ずるというのはどういうことでありますか、このことについての見解を伺いたいわけであります。 粗生産で米の構成比は70%程度になることになっております。これは現在の72.5%と、そう変化はありません。いわば生産全体は減る、構成比は変わらないというしかけになっておるのでありますが、それにしては蔬菜、畜産等が大きく伸びておるのに――伸びておるのがどうも理屈に合わぬので私はよくわからないのでありますけれども、農業総生産、全体はこれで縮小をするのではないかという懸念を持つのでありますが、この点を伺いたい。 最後に、本県の零細土地所有の特徴を、この見通しや装置化の中でどう生かしていこうとするのかということについて伺いたいわけであります。 最後に通告しました自治体外交についてであります。 ニクソンの訪中で中国問題、中国を中心とする世界の流れは、まさに大きな動かすべからざる流れになったようであります。これはつとにわれわれが指摘をしたところでありますが、にもかかわらず、わが国の政府はこの時の流れにどうもあまり乗り切れないでいるようであります。 国会で国交回復後は中国は1つであるというような、わけのわからぬことを言っておるようであります。そこで、私はそのようなばかな時代おくれの政府などというものは一まずおいて、いま民間ベースで大きく日中問題の打開、国交回復の流れをつくり上げておるわけでありますが、自治体ベースで関係改善を進めるというふうなことはたいへん意義のあることだし、必要なことではないだろうか、このように考えておるわけであります。 本県の貿易構造は、中国はアメリカに次いで本県貿易のまさに第2位を占めておりまして、何か知事は台湾にたいへん御執着のようでありますが、台湾などと比べたら問題になりません。9倍から10倍にのぼる大きい量であります。輸出では肥料、機械、金属、輸入では大豆、工業塩程度で、最近はビートなんかの飼料の話も具体化しておるようでありますが、薫蒸したりする港の設備がないというので、これも頭打ちになっておるようであります。 そのほかとかく問題が控えておるわけでありますが、生糸の問題もあるようであります。これも4万俵のうち1万俵くらいは中国のもので、現に新潟県の機屋の需要は多い、こういうようにいわれておるのでありますが、繭糸価格安定法の規制が障害になっておることも確かです。この輸入が養蚕農家を圧迫するのじゃないかということでいろいろ問題にはなるところでありますが、しかし、需給関係から見ると圧迫するというデータは一つも出てこない、中国も日本の生産者を圧迫するようであれば断わると言っておるくらいでありますし、そういう点ではむしろ規制を解除するように働きかけるというふうなことがあってもいいのではないか、このように考えておるわけであります。 ともかく、このような大きい意味での世界の流れというふうなものに的確にわが国が乗るために、あるいは狭い意味での新潟県の貿易構造、貿易関係というふうなものをもっともっと進めていく意味でも、新潟県が、知事が非常に大きな役割りを果たさなければならぬことは言うまでもありませんが、それには知事自身が中国問題に対する姿勢をまず正すことから始めなければならぬわけであります。そういう意味では、少なくとも最低限中国が言っておる政治3原則、これはしごく当然のことであります。中国敵視の政策をとらない、中国を敵視しない、2つの中国をつくる陰謀に加わらない、日中国交正常化を妨げない、しごくあたりまえの3原則であります。この3原則をまず知事が認める、そしていま、まだはっきりしてないようでありますが、日華親善協会の役員などというものはやめて、そちらのほうはきちっと清算をする、こういう姿勢をとってほしいのであります。 私は、この際、知事に自治体政府の長官として、先ほど述べた中国に対する姿勢を確立して、自治体外交を積極的に推進するために進んで訪中の決意をし、訪中の打診をしてはどうか。そのために必要だとすれば、いままで民間ベース、野党ベースで努力をしてきたわれわれもまた知事に援助をし、努力をすることにやぶさかではありません。また、広州交易会等に代表部を置きたいというようなさまざまなことがある。これはまだなかなかうまくいっていないようでありますが、いまやれることは、中国の市況、建設計画に見合って、新潟県の貿易構造、産業構造がどうなっておるかという市況調査や構造調査や、あるいは友好貿易、そういうベースでやっておるそれらの県内の業者の援助、そういうようなことには積極的に取り組むべきではないか、かように考えるわけでありますが、知事の積極的な前向きな答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手) 〔
知事亘四郎君登壇〕
◎知事(亘四郎君) 志苫さんのお尋ねについてお答えを申し上げます。 まず第1点の県、地方自治体の財政の基礎というものは、いろいろ不完全な要素をたくさんかかえておって、これにメスを入れなければ、ほんとうの自治体としての機能の発揮できるような財政機構ではない。これに対してどう改革の歩を進めていくかというような点のお聞きがあったと思います。たいへんむずかしい問題であろうと思うのでございますが、そうした現在のいろいろな困難、これを私は認めないわけでもありませんし、また自治体として独自の立場でそういう財政計画を立てていく、そういう点についてもむろん私は同感であります。ただ、それにはおのずと限界がある。自治体だけの考え方でなし得ない実情にある。 と申しますことは、極端にいえば、来年度、47年度予算がかりに2,200億だ、その2,200億の財源をそっくり私にくれて、さあ県民の福祉のため、その他いろいろ考えてどうすればいいのだ、おまえ予算をつくれ、こういうならおのずと違ったものが出てくるわけです。ですけれども、いまの仕組みにおいてもはや筋が通っておる。この予算を削ってこっちにくっつけろ、そういうことができるならいいのです。できないんです。できるものがあったとしてもそれはきわめて少ない。ほんとうの単県の操作でしかない。そういたしますと、大部分のものはまだまだ2割自治、3割自治の実態、ここの改革ができない限りにおいてはもう口頭禅だ、そういうことにつながろうかと私は思う。ですから、ともかく私どもは財源の確保、この財源の確保というものに対して各県の知事さんたちはみんな共同で力を入れておるわけなんであります。 ですから、公共事業がふえた、産業が発達した等々があっても、これが少ないじゃないか、福祉的なものが少な過ぎる、これはどこでもおしかりを受けておる。ですけれども、そういう公共事業というものに対することしの県の予算を見ましても、公共事業、しかもそれが社会福祉を優先させていく、生活尊重、人間尊重というものを考えながら、したがって下水道であるとか、環境衛生関係がほんとうに大幅な伸びを示しております。 ですけれども、一方においてそうした全体の福祉のための経済活動の基盤整備、そうした社会資本の関連において十分活動の基礎をつくらなければ活動ができないという点からいって、そうした基礎づくりもやはり均衡のとれる範囲においてやっていかなければいかぬ。いままでそれがいささか偏重されておったということは私も認めざるを得ない。ですから、ことしからああした福祉型の予算に政府は考え方を変えてきておる。またその流れが予算の関係で県にも入ってきておる。ですから、順次方向転換の方向にありますけれども、一挙にこれを県の考えるような、希望するような形にといいましても、それはなかなか言うべくして行ない得ないのが実情であります。そういう意味で、私はそうした福祉予算について熱意がないとか、そんなようなことはいささかもないわけでございます。もとより、だれにも増して私は熱意を持っておるつもりであります。ただ、それを実行に移すにあたりまして、やはりそうした根本の財源の制約というものが基礎にありますからして、そう簡単にいかないのは私はまことに残念に思っておるわけです。ですけれども、今後はそういう点についてもやはり十分やっていかなければならぬと思うわけでございます。 なおまた長期構想――長期構想というものは成長率を12%とか13%に見ておる。それは高度成長を基礎とした構想で、産業優先であって、福祉にはつながっていかない、こういうことだからこれを変えるべきであるというお考えでございますが、いままでの長期構想の経済成長率というものを40年代、それから50年代、一応こう分けてあるわけです。そして40年代のあれはいままでの形からいって12%から13%というようなことになっておるが、今度50年代に入ると順次これが7%台から8%というようなところまで変わってきておる。ですから、その長期構想それ自体は何もそうした高度成長を目的とした形で策定されたものではあくまでもない。県の長期における好ましい姿、理想図として考えるのはこうだ、そうするためにはこういう形のものを各部分でやっていく、これが長期構想のワクでございます。でありますから、その長期構想の面においていままでの実情からいっての成長率、それから今後の形、もうすでにああした13%とか12%とかというような高率成長というものは軌道修正を行なってきておる。でありますから、これは当然自然の姿において行なわれていくものである。 私は常に申しておりますように、こうしたことはもう経済優先というよりも、そうした経営者、企業者全体のものが政府の政策に先行してすでに行なっておるのが実例であります。でありまするから、政府がいかにもっともっとというても、引き締めなければならなくなればぐっと一律に後退する、そういうようなことが、あの経済の成長の伸びの実態を示してきておるわけです。また、政府が高度成長にしたいというて旗をあげる、そのあげたときより2年も3年も前に実際、実業界はそれに先べんをつけて先駆しておる、こういうのが実情であると考えますならば、高度成長のこういうような形のものでない、もう当然の帰結としていわゆるアップ・アンド・ダウンのカーブ、このカーブの修正はあるときはこう、あるときはこうとだんだん変わっていくわけです。 そういう意味において、いま13%あるいは14%というような大きな成長率のものは、来年度はすでに7%台に見ておるというくらいの急激な変化になっておるわけです。これがはたして実際にはどういう形にあらわれるか知りませんけれども……。そういう意味からいたしまして、一応長期構想として県がつくったもの、そのもの自体をその意味でいまどう改正しなければならぬかというようなことは私は考えておらない。 それからいろいろお尋ねがございましたが、授業料の問題は先ほど戸田議員にお答え申し上げたわけでございます。 ただ、これはいいことなのか悪いことなのか、お尋ねのあれは私が上げたいと思うのか上げたくないと思うのか、どっちだ、その真意を言え、こういうことなんでございますが、それはだれしも、率直にいって、こうしたものは上げないで済ませられればそれにこしたことはないと私は思います。そういうお尋ねであるならこれは問題ない。 ただ、それならばおまえ知事なんだから上げなければ上げないでできるじゃないか、なぜやるのだ、こういう反論に変わってこようかと思います。ですけれども、おまえ上げたくないのか上げたいのかといえば、私は知事でもあり個人でもあるという意味がたくさんあります。しかし、私は知事として考えるときに、全部の関連において、総体的に考えたときにこれはやはり上げなければならない。そして先ほども申しましたように、たとえわずかではあってもそのものだけ歳入欠陥が伴ってくる。交付税として当然授業料を取ったのだという計算で算出されるわけであります。ですから、それが事実取ってない場合はやはり歳入欠陥につながる、でありますから、そうしたことはやはり240万県民に対してそれだけの分迷惑をかけるということになるわけであります。そういう意味からいって、私は、先ほど申しましたような授業料の値上げをお願いして、皆さまの御承認を得たいと思います。 それから乳幼児、ゼロ歳の子供のお話でございますが、これは非常に御研究なさってのことだろうと思いますが、私も実は実情はよくわかりません。そういう
死亡率の高いゼロ歳児、非常に憂うべきことだと思います。ただ、いま私が覚えております範囲のものは、そういう未熟児を産まない、不幸な子供を産まない、それが一番先駆して、さらに先行して大事なことである、こういうことで、県の立場においてそうした運動を全県的に進めておるわけであります。本来そういう不幸な子供が産まれないようにする、手足のそろった健康な子供が産まれるというようにぜひしていきたい、こういうことでそちらのほうに幾らか力を入れて運動をしておるわけでございますが、そうした不幸なゼロ歳児のことにつきましても、老人医療と相まって、これがやはりたいへん重要な県の福祉対策になろうかと私は思います。したがって、他県がどうなっておるのかもわかりませんけれども、こうした点についても十分趣旨を体して検討させていただきたい、かように考えます。 それから県立病院の問題でございますが、特に三条の結核病院でございますが、三条の結核病院はいろいろな点に検討を加えた結果、これを廃止するという方針を一応決定したわけでございます。 なるほど、あの地方、県央地区に三条の結核病院以外に県立の結核病院はない、こういう御指摘でございますけれども、結核病院あるいは結核療養所、中越地区には県立でなくともまだ国立のものもたくさんあります。小千谷にも柏崎にも寺泊にもある。そうしたようにたくさんあるわけでございます。そういうものを総合して考えるときに、いまの実態からいって三条の結核病院の存置の必要性がどうだ、また、そうした患者の問題等に対してどういう善後措置ができるか、そういうものを全部検討を加えて、円満にこれが解決されて、みんなが喜ぶ結果になることを期待して措置をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。 それから広域行政の問題でございますが、広域行政は、少なくとも自治体の性格を変えるとか、あるいはまたその自治体の自主性をなくして中央集権的な姿に持っていくというような考え方は私どもはいささかも持っておらない。あくまでもその自主性を尊重して、自治体が自治体としての判断によってすべてやっていく、こういうように考えておるわけです。 ただ、現在の日常生活機構、これがいわば単位時間内に行ない得る各自の日常活動、経済活動、そうしたものを考えるときに、現在の立場においてもっと広域的な範囲になってくる。したがって、そうした広域的な活動範囲にある地域の人たちが、自分の利害にお互い合ったものに対して、相談の上でそうした活動に適したものに変えていく、つくり上げていく、こういうことが必要な段階である。各自治体がおれのところだけというて狭いからの中だけで考えるということは、実際の日常生活の面からいって時代がもうすでに違ってきておるじゃないか、着想がそういうことになっておるわけであります。 でありまするからして、県がその青写真をつくって、そして自治体に強要する、少なくとも私の知っておる限りそういうことはいささかもありません。むしろ、何で早く広域圏をつくらぬかと自治体から突き上げられている。たとえば第1番目に指定になりました三条、燕、加茂、あの広域圏が指定になるとき、まだ県がそういうことの考え方の未熟の間に、当時の三条市長が中心になってその運動を進めた。そして早く県が受け入れる体制を整えてもらいたい、推進してもらいたい、そして燕の市長さんと三条の市長さんが中心になって推進をしていった。これが実例であります。でありまするから、私どものほうからこうしなさい、ああすることがいいですというように強制的な意思などというものはいささかもそこにはないわけであります。 ですから、いま9つですか、全部あって、あと3つか残っておると思います。新潟とわずか残っておる。それもやがてことしあたり広域圏の指定が得られるのじゃないか。得られるにいたしましても、地域の方々のそれに対する順応体制ができなければ、私どものほうからやりなさいというような形は一切しておりませんし、そういう意思もありません。あくまでも地域の方々の実情に応じた形に持っていきたい、かように考えておるわけでございます。 それから農家所得の問題でございますが、むずかしい問題でございまして、根本解決はどうかというようなことは非常にむずかしくて、自分自身でも右往左往、こうだろうかああだろうかと思って常に迷っておるわけであります。ですけれども、これは新潟県だけでなく、現在の第1次産業、そして現在の各農家の個人経営規模、そういうものからいって、農家が所得をふやしていくというようなことは事実上不可能なことです。ですけれども、年々農家の所得はわずかであってもふえているということは、純粋な専業によっての所得でなくて、むしろ農業以外の兼業のほうの所得がだんだんウエートが大きくなってきておるのが実情なんであります。 そういう意味におきまして、農家の経営をさらに健全にするためにはどうするかということになると、終局的には各農家が自分を守る意味においてどうすれば一番いいのだという自己保護の努力、その精神が一番根底でなければならぬ。私どもは小学校のときから覚えさせられておる、自分のことは自分でせねばなりません……。(笑声)何でもこれが一番なんです。そういうことでやっていく。これは県の施策として右すれ、左すれ、こうすれ、そういうようなことがあってはならない。こうしたいが、県これをこうしてという形の相談で持ってくる。県が右すれ、左すれ、これをつくれ、何つくれ、そういうことは本来やってはならない、私はそう思います。それはやはり権力政治につながる、統制につながるのです。ですから、そういうことはあくまでもやらない。そして試験場等を通じて各種のものが、どうすればよりよいものがより多くできるかという点について、地質から空気の関係、養分の関係までも調べて、そしてそれに適合するように指導していく、協力していく、これが県の農政に対する根本でなければならぬ。そして稲作はどう、野菜はどう、畜産はどう、林業はどう、各部門にわたってそれをやって、そしてどういう形で協力ができるか、あくまでも協力だ、そういうぐあいに考えていくのが根本でなければならぬと私は思っております。 そういう意味において、新潟県の農業として特に稲作農業がその中心であったものが、今日こうした状態で相当困難性を持ってきた。しかしながら、先ほども申しますように、新潟県の稲作農業というものは、広い蒲原平野を中心にして考えたときはこれ以外にないのです。ですから、このものを発展させて農業所得を増大するためにも、各個人個人が考えておることにあわせて、もっと個人個人がみんな相談し合って、地域的に相談し合って、そして農協等が中心になり、どうすればより所得が多くなっていくか。ただ単にそうした値上げ運動というような、そういうこそくな手段だけでなく、本質的な、もっと消費者に喜ばれ、消費者が高く買う、こういうものにしてより多くつくっていく、そして労働力をセーブして、余剰の力を他の収入源に回す、農村の工業導入という新しい考え方もやはりそれに関連しておると思いますが、それをあわせて一番適したものに努力していってもらう、こういうことになろうかと思うわけです。 流通機構の改革と言われても、先ほど志苫さんから御指摘があったようになかなか容易でない。物価問題は政府も頭を悩ましておる。しかし、質問するほうも、こうすればいいじゃないかという案を一つも示しておらない。そういうものを見ますと、やはり相手方にもないと思うのです。そんなようなことで非常に困難な問題だと思います。ですけれども、私どもは県の立場でそうした流通問題や市場問題、それらをできるだけ発展させるために県としてどれだけ協力ができるか、その効果がどういう形になるかということは、問題は別としてもよき効果のあらんことを期待して、そうした予算措置を構じておるというのが実情なんです。 それから米中会談を契機としていろいろ情勢が変化した、このときにあたってという、問題が非常に大きくて知事の問題としてはどうかなというような考え方もあるわけなんでございますが、私は私なりに、自分もあの問題を契機としてずっと見ておりまして、外交というものはなかなかきびしいものだなあ、現実だなあという感じを特に深くした。10年ばかり前の浅沼・周恩来の共同声明、アメリカ帝国主義はわれわれの共通の敵だ、こういうぐあいに言うておったその帝国主義の元凶のニクソンが行く。またこれをああした形で受け入れてあの共同声明。解釈にいささか戸惑いをした。解釈でとてもわれわれは普通についていけない。 そういうときにあたって、新潟県の知事としてどうするか。こんな変転きわまりない大きな世界の大勢の中で、小さな新潟県の知事、私なんか人よりなお小さいほうで……。(笑声)それがどうするかなんということはおこがましくてほんとうは言えない。ですけれども、私も自分自身で自負しておるように、おれは国際人なんだ、こういういささかの自信を持っております。ですからして、ああした米中会談のいまの実情からいって、東洋の緊張緩和ということには大きな力があったもの、そして私はこの議場でも毎々申し上げましたように、台湾は中国の一部である、そしていま中国を領有しておるのは中華人民共和国である、この見解を私はここの皆さんにも申し上げておるわけです。そのことはお互いに認める形にあの会談でも出てきておる。私はたいへんけっこうだと思います。そしてまた、国際連合という、あの世界の平和機構の中において中国をどういう形で認めておるか、御案内のとおり常任理事国という名誉ある重要な地位を認めておる、そういう中国でありますからして、当然今日の姿に解釈が変わってこなければならないと思うわけです。 そういう意味において、中国だけでなく、あるいは朝鮮、あるいはソ連、少なくとも私ども日本海を持っておる新潟県として、日本海が平和な海であらんことを願い、そして貿易の盛んならんことをこいねがう形においては自分はだれにも負けない熱意を持っておるわけです。ただ、現在の日本の貿易機構を見ましても、日本だけを見ても、輸入するにもそうした許可が要る。あるいはまたLT貿易にしても、いま覚書貿易という形になっておるのですが、その貿易にしても、基礎においてみんな外務省なり通産省なりのそうした取り扱いの許可が要る。また相手国のほうでもそれに準じた政府機関の立ち会いが中にある。 でありますからして、そうしたような状態をよく考えてみたときに、私どもがなし得る範囲というものは非常に小さな範囲、それを幾らか前進させる刺激剤、スティミュレートするような役目しかないわけであります。でもやるべきものはやはりやらなければいかぬ、こういうことで、ハバロフスクの見本市だとかあるいは新潟にソ連の見本市を開くとか、そういうようなことを順次やってきておるわけです。また、代表部を新潟に設置することによってそうした両国間の貿易をいささかでも推進させていきたい、こういう考えをもって今日まで努力してきておるわけです。中国の関係におきましても、私はそうした意味の努力をしてまいりたい、かように考えておるわけです。 ただ、このことによって大きく望む――ある意味において日本側は商社間であっても、相手国はやはりああした経済機構の国であります。したがって、政府あるいは準政府というような形が対象となる。そしてその地域の民族資本の蓄積の状態や生活の水準、そういうものを考えたときに、どう対処して間違いのないようにしていかなければいかぬだろうか等々考えますと、問題はなかなかめんどうな問題であろうと思います。 ですけれども、いませっかく、わずかではあっても新潟港を中心にして中国向けあるいはまたソ連向け、そうしたものの荷物があるわけでありますから、これを拡大する意味において、私は自分のできる範囲の努力は十分やっていくつもりでありますし、はたまた中国を訪問したらどうか、これは私はどなたにも申し上げているのですが、どこからでも、そうした国からおい、遊びに来ないかといわれれば、時間の許す範囲で喜んで飛んでいきます。そういう意味で、私は決して片寄った考え方など持っておらないわけです。あくまでも門戸開放主義と申しますか機会均等、門戸開放、何も自分はとらわれておらないで、そういう意味において、知事として県産業の発展のために、輸出振興のためにどれだけのことができるか、そういう点について大きな期待はできないとしても、自分だけの力において協力をすべきものは十分協力をしてまいりたい、かように考えております。(発言する者あり) 御返事申し上げる点について記憶違いがあり、失念いたしまして、たいへん失礼いたしました。 再度お答え申し上げますが、公害対策の関係から保健所の人的強化をはかれ、こういう御意思でございまして、ごもっともな御要望でございます。私どものほうもそうした保健所を中心にして前線の一線活動をしていただきたい、そういう意味でこの担当局を新しくつくるわけでございますが、その際そうした人員の整備につきましては、その活動の状況にあわせて当然強化されなければならないものと今日からでも考えておる次第でございます。でありまするから、そうした点はどの程度まででありますかわかりませんが、順次強化してまいりたいと思っております。 それからダイヤ変更について、いろいろ利用者の立場からして不便のないように新鉄局に対して県のほうからもきつい注文をつけてある、さように御了承願います。 それから老人医療の関係でございますが、所得制限の撤廃ということにつきまして、先ほど来何か所得制限二百何十万円、それから扶養者のあったときとかいろいろむずかしい点がありまして、私のほうからお答え申し上げてかえって混乱や間違いを起こすと悪いから、これはひとつ民生部長のほうから御答弁をさせていただきます。 〔民生部長矢野達夫君登壇〕
◎民生部長(矢野達夫君)
老人医療費の対象者に対する所得制限撤廃についての御質問について、私かわってお答え申し上げます。 この点につきましてはもう御承知のとおりでございましょうが、国民年金のうちの老齢福祉年金の所得制限というものとうらはらの関係で運営をされております。したがいまして、国の48年1月1日からの問題につきましては、こういったようなものとのからみ合いで行なわれますので、毎年だんだん緩和をされておりまして、たとえば昨年180万円でありましたものが、今回250万円というふうな毎年非常に緩和の方向にございますが、御質問のような全面的に撤廃ということはちょっと困難ではなかろうかと思っております。ただ、緩和の傾向はどんどんと高まってまいっております。 そこで御質問は、おそらく単県事業について、県が行なうものについて同じようなことは言えないかという御質問であろうかと思います。この点につきましては、全国的に見ましても、大部分の県におきましても、やはり老齢福祉年金とのからみ合いにおいて所得制限が行なわれております。また、現実この250万円の制限によりまして、70歳以上のお年寄りの方々の約9割の方が受給の対象になって、残されるものは約1割でございます。したがって、比較的裕福なお年寄りの方だけが残るというようなことでありますので、今後緩和の方向と相まって対処してまいりたいと思っております。 〔志苫裕君登壇〕
◆志苫裕君 再質問というとみんなしなければならぬくらいでありますが、質問者は私のところはあとたくさんおりますから細部は詰めてもらいますが、ただ2点だけでいいです。 1つは、高成長路線というもの、同じパターンの繰り返しだと――いままではせっせと投資をする。それが言うなら国際競争力の強化、輸出至上主義、そうやってせっせせっせとGNPを上げて、黒字幅がだんだん大きくなって円の切り上げでばたっとこうきたわけでしょう。今度またそれと同じことを繰り返せば第2の円切り、第3の円切りという形で同じことを繰り返していくと思うのです。それを思い切って転換をしようじゃないかというのが福祉型への転換ということでいまいわれておる。 私は、そのことから、県の長期構想というのは高成長路線を突っ走っておる一つの経済政策、経済計画だから、これがいま転換を迫られておるのだから変えようじゃないかということに対して、知事は、いや12%は事実上そうならない、伸び縮みがあるというようなことを言っておりますが、12%という数字が大事じゃないのです。そういう高成長をもたらすために、財政運営の方法を全部それに集中しているところに問題があるわけです。第1次産業の伸びは大体100から150、160、第2次、3次は600から800、大きいものは1,000というでかい形に構造を変えていこう。そのために農業人口も少なく見積もるし、新幹線でこい、高速自動車道でこい、港でこい、あらゆる基盤整備をやっていくし、その結果うちが足らなくなるからちょっと建てようとか、その結果下水が詰まるからどうとかしようとかという形になっておるわけで、中心はそういう高成長路線、高成長型というわけですね。その型に基づいてあれができておって、それを軸として県政を動かそうとしておる。それがいま転換を迫られておるのだから変えようじゃないか、こう言っておる。 ですから、ただ単に12%という見積もりをしていた、12%という見積もりをしておったらそれが変わってきて、11%になったじゃないか、15になったじゃないかと私は言っておるのじゃないのです。その12%をささえるための一切の財政運営の、一切のしがらみがそうなっておるからそれを変えようじゃないか。それを変えようとしない限りは、現実の問題として、さっき私も言いました、国の何々5カ年計画とか何々3カ年計画とかと公共事業のワク組みがありまして、それに乗らなければ銭がとりにくくなりますから、それに乗っておればそのワクどおりに地方自治体もきまってしまう。国との関係では問題があるけれども、その中でも少しでも変えていこうとすれば県自体においても変えなければいかぬでしょう。 たとえば、農業に銭使う。ことしの予算を見ても、農業基盤投資は相当大きいものですよ。確かに、それは構造改善でこい、広域何とかといって非常に大きい額を占めておりますね。これはやはり考え方ですよ。そうやっていわば装置化をする、システム化する、そういう方向に向かっての農業基盤整備をする。それは一体農民のためにしあわせになるのかどうかということは別の観点で考えてみなければならぬですよ。それはそんなにせぬでもいい。それはしばらくスローダウンしてもいいという考え方はある。そうしたら、その分の投資はそこへ持っていかなくてもいいわけです。その分の公共事業を断わってほかのものに回したらいいじゃないですか。早い話が広域農道、でかいものです。これをスローダウンしてもいいじゃないかという意味で、そういう意味での高成長路線というものを切りかえようじゃないですか、転換をしようじゃないですか、このことをあなたに聞いておるのだけれども、どうもそこのところがうまくぴたりと答えてくれないということが1つです。 それからもう一つは日中問題。いまあなたのお話も、大筋いって、世界のそういうとうとうたる流れ、県民の代表である知事が足引っぱったり水かけたりするようなことはまさかしないだろうし、われわれなりに努力するというような話でした。そこで、やはり現に問題になっておるわけです。 私は、先ほどしぼる意味で、政治3原則というものは認める、そういう立場に立って中国との関係を、地方政府の長官は長官なりに、県民は県民なりに、県議会は県議会なりに改善をしていこう、それのベースになっておるのは政治3原則、それを認めるという立場、そうすれば、その大前提として日華親善協会などというものは、知事はやめるというような話を内々にわれわれ伺っておりますが、それは公式にこうだ、こういう事情だからおれはこうだというふうにここで表明なさる、これはざっくばらんに言いますけれども、中国問題についてみんないろいろと努力しておるんですよ。新潟県の貿易協会は貿易協会でみんな努力しておりますが、やはり一県の長である知事が、言うならその辺の関係がうまくないために非常な障害になっておる。 この間、県の国貿促の支局の新年の初総会がありました。新潟の港を控えておるというので新潟の市長が出席をしました。私はびっくりしました。あなたが会長であの人が副会長という話を聞いておりましたから、聞いたら私は副会長やめたのです、こうなって、やめたら今度はそっちへ出ていろいろやっておりましたが、これは等々力さんもそうらしいけれども、知事自身、あなた国際人だというのだから、国際的なセンスからいってもそういうきちっとするところはするということが当然だと思うので、立場はやはり表明をして、そこをスタートにして、日中問題について先ほど私が幾つか提案をしたそういう問題をやっていこうじゃないですかということを提起しておる。 〔
知事亘四郎君登壇〕
◎知事(亘四郎君) 再度のお尋ねの件でございますが、わずかなものであれば、いわば県の自己財源と申しますか、そのもののうち中央との関係で必要のないものに限って右、左ということはできるわけでございます。ですけれども、先ほど志苫さんが指摘されるように、そういうものを返上してこっちへ使ったらいいじゃないか、これができれば簡単なんです。返上すればその分は返上したなりになってしまって、その金をじゃこっちにという形のものは、中央の組織ではそれができていないのです。でありますからして、公共事業のあれは必要がない、あの橋はことしはかけぬたっていいのだ、まだ人通りがないのだからというて、じゃこの橋やめるからして、こっち側のふもとのところに診療所をつくりたいからといって、そっちへ金を持っていって使えるかというとそれはだめ。そういう点、財政の投資の方向というものは非常に大事であって、よく選択を誤らないようにしなければならないけれども、やはりある程度限界と制限があって、なかなか思うように、それが簡単にいけないというのが実情であります。 ですけれども、一応いまのセンスからして、やはり社会関係の福祉増進につながるような方向に、順次総体的のバランスにおいて中央も県のほうも、幾らかずつウエートが移行しつつ重心が動いておるということは、ことしの予算の上からいっても言えるのじゃないか。なお十分とは言えないけれども、そういう形のものを私は考えておって、それらに対する配慮を加えて予算を編成したつもりであります。 それから最後の政治3原則でございますが、これはそれこそほんとうの原則、プリンシプルであって、何も間違いの要求でもないし何でもない。ただ2つの中国をつくる、そういうような陰謀的なものは、私どもは日本政府だって持っていないと思います、知りませんけれども。ただ2つの中国の形のものがあって、その1つをすでに承認をしておった、そのものをいますぐけってどうこう、動きからいってもそういう事態になってきてしまっておる。これは国連のあの中国加入以来ずっと一貫して流れがそういうように変わってきておる。したがいまして、やがてそういう形のものにみななるであろう。 しかし、しいて事をかまえてやらなくとも、話し合いの上で、すでにニクソンと周恩来の間でもそのことは了解の上で、台湾はぶっつぶすのだ、けってしまうのだということを言わせないで、おとなとおとなの交渉において十分理解してやると言っておるのですから、そのくらいのものは、外交家としての立場からいっても、そんなにきびしく、なぜ日本にだけ政治3原則を認めなければというようにあの強い姿勢を周恩来がとるか、そういう点について私はまだいささか釈然としないものを持っておりますが、それだったらなぜニクソンさんにもとらなかったか、そういうようなことも私は言えると思うのです。 でありまするから、そういう意味において、先ほど来の日華親善協会の話ですが、渡辺市長あるいは等々力さん、私はみんな話し合いをしております。しかし、おのずとそういう手続の時期がある。まだ総会も持っておらない。したがって、この次の総会にはそういう点についてこういうぐあいにしていこうじゃないかというように話はしておりますけれども、総会の時期は用意ができないと見えてまだきまっておりません。近いうちだとは思っておりますけれども、それまではまだやむを得ずそのままになっておるというのが実情です。 ――
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○議長(鈴木太吉君) 暫時休憩いたします。 午後4時5分 休憩 ――
――――――☆―――――――― 午後4時21分 開議
○副議長(
長谷川多喜男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行ないます。林弘二君の発言を許します。 〔林弘二君登壇〕(拍手)